友達と一緒に歩く

 

ナダとは、2、3年前に、私の子どもたちが通う幼稚園で出会いました。彼女の夫は、名古屋の病院で行われていた国際的な研究プロジェクトに携わっていたため、彼女と息子も数カ月名古屋に滞在していたのです。私はアラビア語を話せませんが、ナダはエジプトで救急医をしていたこともあり英語が流暢だったので、子どもたちを遊ばせている間、ママ同士の会話をしました。私は日本語ができるので、幼稚園からのお知らせの確認を彼女とすることもよくありました。イスラム教を信仰するナダ家族は、特定の食材を避けなくてはいけないので、息子のおやつやお弁当に関する情報はとても重要でした。

一方、新型コロナは私たちの生活にも影響を及ぼしていました。4月になると、幼稚園が2カ月間休みになると発表されました。毎週末に日本各地の観光地を訪れたり、息子の幼稚園生活の話を聞く、というナダの思い描いていたライフスタイルは、突然なくなってしまったのです。彼女と息子は、ほとんど知り合いのいない街で、行くあてもなく、することもなかったのです。その2カ月間、私たちは毎週のように会いました。近所を散歩し、子どもたちは公園で鬼ごっこをしたり、ブランコに乗ったり、春の雨の中シャボン玉で遊んだりしました。私たちは、たくさん話す機会がありました。私は、彼女からエジプトについて、彼女の家族について、そして救急医療に携わる中で時々起こるハプニングについて、様々なことを学びました。私たちはともに信仰を持つ女性なので、お互いの信条についてもよく話しました。私はそれまで、イスラム教徒の友人を持ったことがありませんでした。彼女は自分の信仰をわかりやすく説明してくれました。単にイスラム神学の概要を本で読むのではなく、イスラムに関する個人的な経験について、誰かと話す機会を持てたことを本当にありがたく思っています。

自粛が明け、子どもたちは幼稚園に戻り、ナダの夫の研究プロジェクトも終了しましたが、ナダとその家族は数ヶ月間、帰路の確保に苦労しました。何度も延期を繰り返した後、ようやくフライトが見つかりました。現在、彼女はエジプトに戻って2、3年になりますが、最近女の子を出産しました。

遠く離れていても、私たちの友情が続くように、ナダが息子と娘の世話をする中で休むことができるように、新型コロナ感染拡大の中で医療活動をする彼女に、神の守りがあるようお祈りください。

— L.C.

 
Damian Grateley